2005年07月11日

底辺なもの55 エソラ創刊2号

さて、最近サボり気味ですから、
週の最初くらいちゃんと書こうと思いまして。

今日のネタは「エソラ」という文芸誌です。

文芸誌を月に2-3冊買ってるっていう話は
これまでにも散々してましたけど
去年の暮れでしょうか、とある文芸誌が創刊されました。

それが講談社から出てる「エソラ」です。

これは小説とマンガの雑誌で
文芸誌にしてはちょっと珍しく全編読み切りです。

1200円するので、文芸誌にしてはやや高めなのですが
この文芸誌には全編読み切りっていうことの他に
特色がもうひとつあります。

それは「不定期刊」ということ。

予算の関係なのか分かりませんけれども
とにかく不定期刊なのでいつ出るかわからない。

先日フラリと青山ブックセンターに立ち寄って
文芸誌の棚をチェックしたところ
最近新刊が発売されてたんで即買いしてしまいました。

評判次第ではいきなり廃刊になっちゃったりするんじゃなかろうかと
勝手に想像していたので、
ほんとに嬉しかったです。講談社さんには頑張っていただきたい。

陰ながらエソラのファンです。

何がいいって、全編読み切りなのはもちろんなんですけど
その内容が重すぎない。

決してコテコテの文学性の高い作品ばかりではないけど
そんな重くない感じもまたエソラの良さだなと感じます。

読む本に困ったときに、気軽に手に取れる。
文芸誌っていうのは、連載だと何となく損した気分になりますから
その点でかなり他よりも有利だと思うし、
分厚い本だけど物語のひとつひとつは決して長くないし。

そんなごった煮感もまたよろしです。

上で「物語」と書きましたが、
この本の特色としてそういえば「エソラ」→「絵空事」→「物語性」を
とても重視してるってこともありますね。

上記のことは創刊の辞に書いてあったような気がしますけれども
空想世界のもつ不思議な雰囲気が一貫して描かれているような気がします。

お気に入りはやはり伊坂幸太郎氏の作品。
「重力ピエロ」でかなり有名になった方ですが(私はまだ読んでないんですけど)
私はこのエソラで初めてこの人の作品を読みました。

ミステリーってあまり読まないくせに
男性の書くミステリーっていうのは
その重厚感からしていいなと思っているんですけど
この人のは典型的に好きなパターンのストーリーの進み方です。

ちなみに桐野夏生のミステリーは
ほんとに女性が書いてるのかな…と思ってしまうんですが
皆様いかがでしょう。。

桐野夏生といえば
4年くらい前に「玉蘭」という小説を読んだのですが
こういうスケールのデカい話ばかり、一時期ハマったことがありましたねぇ…。

というわけで、
梅雨のうっとうしい夜に、
エソラ片手に空想の世界にどっぷり浸ってみる底辺ズでした。
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2005年06月09日

底辺なもの43 犯罪者詩人

私は小説を読むのが好きなのですが、
(しかもミーハー)
最近はお金が続かないので月刊の文芸誌を2冊、
早めに読み切っちゃったときは
3−4冊買うのが最近の習慣となっております。

これまでにも「野性時代」については書いた事がありますが
今回は毎月買っているもうひとつの文芸誌「すばる」について。

「すばる」は、「野性時代」は一般大衆的、バラエティ性が高いのに比べ、
かなり純文学度の高い雑誌だといえます。

もっといえば「文学界」の方がさらに純度高めな印象ですけど…
ちょっと私には敷居の高い気がしますので
あまり買いません。
連載なのであまりちょこちょこ買ってもストーリーわかんないし
そのうちハードカバーになって読むかなと思ったら
買う気が起きなかったり。

あ、でもこの前は北野武がフランスの映画専門雑誌の掲載のために
独占インタビューされたときの全文が載ってたので
思わず「文学界」買ってしまいました。
期待を裏切らず面白かったです。

他のどんな雑誌でもなく「文学界」に掲載されるところが
ニクいですよねー

これらの雑誌の生い立ちとかは良く知らないのですが
そういうことも雑誌に寄稿する作家の違いを生むのかなと
勝手に思ってます。

時間があればそういうの調べてみたいなぁ…

ちなみに「すばる文学賞」受賞者は、
継続的に新作を「すばる」で発表することが多い気がします。
ちょっと前に話題になった
金原ひとみ(「蛇にピアス」の作者。この作品はすばる文学賞も受賞しているのです)は、
今月号でも新作(200枚くらい)を発表しています。
私には全部読みきれてないですけど…
やっぱりそういう気分じゃないからかな。歳のせい!?(泣)

というわけで毎月読んでいる「すばる」ですが、
今月号で私の目に止まったのは
「犯罪者詩人、ラスネール」

「すばる」に限らず文芸誌では割とよくあるんですけど、
唐突に、全然知らない昔の作家やら詩人やらが
生い立ちや経歴を含めて紹介されることが多々あり、
またその人たちが魅力的なのです。たまらなく。

今回は、犯罪者(しかも強盗殺人)と文学っていう切り口が
もうたまらなくツボでした。
その評論によるとラスネールというのはフランスの詩人、
19世紀前半の人物なのだそうで。

犯罪者っていうと、
私はビートニク作家、ウィリアム・バロウズ
(林檎を頭の上に載せさせ、
 銃で打ち抜くウィリアム・テルごっこで妻を殺害…)
くらいしか知らなくて
しかもバロウズは亡命しているから牢獄には入っていない気がする。

他にもこの評論によると何人かはいるらしいですけど、
囚人として名作を残した作家っていうのはやはり数少ないらしいです。

殺人者が文学(彼の場合は詩)を嗜む、その切り口が
どうして私をそこまで惹き付けるのかはわかりませんが…

やはり人間の醜いところを怖いもの見たさで
覗きたくなるという、
これまた醜くていやらしい部分が強いのかもしれませんorz

どうして彼が犯罪に走るようになったのか、
どういう経緯でその強盗殺人を起こすに至ったのか、
一面的な1本の評論で判断するには安易な気もしますが、
私はその記事にとても惹き付けられてしまいました。

読んでるうちに、
「あー、犯罪起こしても仕方ないよな」と思わせるその境遇や経緯、動機。

社会への強い憎しみが彼を犯罪へと駆り立てた。

一言で言えばそういうことなんですけど…
だから一般に存在する犯罪者(しかも知能犯)と変わらないような気もします。
もっと他にも読んでみないとわからないですが。

でもまた別の観点からすると、
そんな風にしか生きられなかったこの詩人のことを
たまらなく愛おしいと思えてくるのですよね。

文字って、文章っておそろしい。
表現力で、どうにでも感情コントロールできるんですね。
犯罪さえも正当化できるかのようなその書きよう。(笑)

感化されやすい私は、
その犯罪者の生い立ちや犯罪の経緯に、
またまたシビれてしまいました。くぅーっ。

(昨日の美容師といい、シビれすぎだなオイ)

というわけで、
こんな風に普通に本屋で本を物色しているだけでは
決して出会えないような作家や作品に出会えるところも、
文芸誌のスバラシイところだと、
常々思っております。

文芸誌では、単に作品だけでなく
その作家及び作品についていろんな人が評論していたり、
対談していたり、そういう企画が必ず1つはあるものです。

その度に、いかに自分が日本や世界の文学について無知かを思い知らされ、
そしてさらに知的好奇心及び購買意欲をかき立てられるという
エンドレスなスパイラルに巻き込まれる底辺ズです。

ぜひお買い上げあれ、文芸誌。
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2005年05月31日

底辺なもの38 白石一文「私という運命について」

先週の金曜日にジョギングをして、
そこではりきりすぎたせいか、この週末は歩く事もままならないほど
右足の甲なのか裏なのか、激痛が走っておりました。
決して筋肉痛の痛みとは違う。それだけは確かです。

病院には怖くて行っていないのですけど(笑)
私のわずかな知識を総動員して考えた結果。

私は扁平足なので土踏まずのアーチがないのですね。
(ちなみに扁平足だから足が遅いってのは違いますよ皆さん。
 少なくともここに13年陸上やってた人がいます)
土踏まずのアーチっていうのは衝撃を和らげるためにあるんですけど
それがないぶん、現役時代はたぶん筋肉で補っていたんだと思いますが
筋肉がロクに戻っていない状態で
アスファルトの上を急にスピード出して走ったもんですから
骨に衝撃がモロにかかってしまい。
ヘタしたら疲労骨折かなんかおこしちゃってるんじゃないかとか
思っています。ほんと痛い…なんだこれ。

私は現役時代、練習が嫌いだったこともあって(笑)
ケガらしいケガをしたことがなかったので驚いています。

せっかくジョギングはりきって始めたらこれですよ。。

実は金曜日、いつものジョギングで気分がよくなり、
誰もいない路地で80mほど
久々に8割くらいのスピードでダッシュを2本くらいしてしまったのですが
それが間違いだったようです。ああっ…バカだ私。

調子に乗るものではありませんね。
いくら走れると言ったって
そこには5年の大きなブランクがごろっと横たわっているのです。

せめてもの救いは、
どうやらヒール靴だと土踏まずに力がかからないらしく、全く痛みを感じないので
会社に行くのには支障がなさそう。ということで
とりあえず、今週はジョギングは休んで完治を待とうと思っております。

というかですね、ジョギングはともかくとして
せっかく行ける事になったイベントで踊れないなんて事にならないか…
6300円もしたチケットが無駄にならない事を祈るばかり。

頼むぜーmyポンコツ足!

とにかく今の状態だとスニーカーでは歩けないのですよ。
一晩踊り狂うにはやっぱヒールでは無理ですからね。

今の状態では
土踏まずをぺたっと地面につけると痛みが走るのです。
早く治りますように。今日も湿布貼って寝ます。
腫れてるわけじゃないから効果の程はわかりませんが…。
やっぱ病院いかなきゃだめかな。松葉杖とかやだな。
(↑考え過ぎ)

いざとなれば病院で鎮痛剤でももらって、
何としてでもイベントには行く決意です。はい。コレだけは確かですよ。

それにしても悲しいです…自称元アスリートがこの有様。
昔の仲間には口が裂けても言えません。orz


さてそんな弱気になっている底辺ズですが、
今日は久々に本屋さんにいってハードカバーの本を買いました。

白石一文の少し前に出た新刊だったので即購入です。

ちなみに白石一文っていう作家は、
私の好きな作家ベスト3に確実に入ります。確実に。

前にも男性作家が好きっていう話をしましたけれども、
この人の作品には、小説だけでなく哲学的要素が多分に含まれているのですね。

そこは哲学に興味津々な底辺ズとしては食らいつかないわけにはいきません。

かなりロングセラーになったっぽい「僕の中の壊れていない部分」は
私にしては珍しく何度も読み返してしまう作品です。
表紙が黄色くて目立つっていうのもあるんでしょうけど、
きっと読む人の人生観に触れる部分があるのだと思います、
内容はほんとに濃くて、この本はいろんな人におすすめしております。

今回の作品は、女性が主人公、女性の立場で書いているという事で
かなりドキドキしながら読んでいます。

まだ半分くらいしか読んでないんですけど…

女性が主人公の作品を、女性の立場で男性が書くっていうのは「?」と思うこともありつつ、
でも「へぇ」と思う事もありつつ、ちょっと新たな発見があるんですよね。

きっと書き手にとっても少しは冒険というか挑戦的な部分があるのだと思うし
前にも脳の男性性、女性性っていうことを書きましたけれども、
ほんと面白いくらいわかりますね。
女性の書いた女性主人公の小説と、
男性の書いた女性主人公の小説。

思考回路が絶対違う!って思っちまいます。

さてそんなこの作品には、
やはり白石一文ならではの、心につきささる名文っていうのが
コロコロと転がっております。

もうコロコロですよコロコロ。

ちなみにタイトルは「私という運命について」。

気に入った文章を引用して紹介したいところですけれども
ちゃんと読んでいただきたいのでやめときます…

この話を半分くらい読んでの印象ですが、
「人生で起こることは偶然か必然か?」
「運命とはなんぞや?」とか
割と哲学的なテーマが根底にあります。

ひとりの女性の半生を通して描かれる
人生の大小様々な決断の瞬間。
その決断の招く結果も決して良かったとは思えなかったり
その結果、良かったと思い込もうとしたり…

その度にいろいろ「良かったんだと思い込みたい」過去の出来事を思い出し、
思わず笑ってしまったりするんですけど(笑)

決してコメディではなく、シリアスな小説ですので
誤解のないように…

初夏の夜、忘れたい過去について、
思いを馳せる底辺ズなのでした。

…運命って信じていますか?
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2005年04月27日

底辺なもの22 西 加奈子「サクラ」

ゴールデンウィークを直前に控え、職場の人たちも
そわそわと仕事にもあまり身が入らないこの頃ですが。

私はGW明けの仕事が心配で、
(入社5年目となると何やら
 ストレスフルなことを振られたりするものです…)
沈鬱な日々を送っていたのですが
本日晴れてその仕事から解放されることが突如決まり、
なんとも軽やかな気分でGWを迎えられそうです。

あまりの軽やかさに、打ち合わせのあと、
移動のエレベーターの中で鼻歌なんて歌ってしまって
先輩にギョッとされたほどです…

さてこれまでは鬱々と日々を送っていた為に
GWはガッツリ旅行なんて予定はいれていなくて
(入れようにも先立つものがないので無理なのですが)
これ幸いと、仕事を早めに切り上げて
職場の近くのデカい本屋に向かい
GWに読みあさるべき本を物色しに行きました。

その本屋はハードカバーがだいぶ充実していて
品揃えも私のお好みです。
いつもは男性作家の棚に居座るのですが
今日は珍しく女性作家の棚の前で
5分もしないうちに
2冊のハードカバーをささと手に取りレジに向かいました。

その選択の素早さからも
いつもよりいかに気持ちが大きくなっているかが
わかるというものです。

そして買った本を休みまで我慢できずに開いてしまうところも
我慢の足りない底辺ズたるところ。

普段会社帰りに本を読むっていうのは
仕事がヒマなときに良くやるのですが、
私が読書用に使っている場所というのがとあるマクドナルド。

マクドナルドっていうと、高校生がたまっていたり
何かと人口密度が高いのと騒音で
長時間居座るなんてありえないイメージがありますけれども
私が行くマクドナルドっていうのは
「大人がひとりで時間を過ごす用」に作られているのです。

普通ならテーブルがだぁーっと並んでいるスペースを
真ん中がどーんと壁で仕切られていて
カウンター席があったりその向こうがテーブル席だったり。

ひとりで過ごす人が多いっていうのを
うまいことキャッチしているなと。
カウンター席には2−3席にひとつずつくらいコンセントが配されていて
たぶん無線LANなんかも使えちゃったりするんじゃないでしょうか。

改装して間もないっていうのもありますけれども
雑然としたマクドナルドのイメージとは程遠い、
それこそ小ギレイなマックとでもいいましょうか。

そんなところに高校生がタムロするはずもなく、
当然読書好きな人やら待ち合わせらしきOLさんやらが
大抵一人で思い思いの時間を過ごしています。

さてそんな快適な場所で、
読書体制を整えいざ!とページを開いたが最後、
ほぼ1冊読了してしまいました(T_T)
GW用に買ったのになんという失態…。

気がついたら閉店の時間でお店を追い出されたため
正確には読了したのは帰りの電車の中だったのですけれども
もう、涙が出そうになるわなるわ。

私は映画ではめったに泣きませんが、
本では読みながらたまに泣いてしまいます。

でも今回の本は、読んだあとにじわじわとこみ上げてくる感じで、
やばかった。しかも歌まで歌いそうになった。
いや、実際電車の騒音で聞こえないしいいやー、と
涙をこらえつつ「…♪♪」と歌ってしまったなたぶん。

そこまで私の感情を揺さぶった本は
西 加奈子「サクラ」。
なんで歌ってしまうのかはネタバレなのでやめておきますけれども、
久々におすすめな小説です。

ブームになるずっと前に
市川拓司「いま、会いにゆきます」を読んだときも
電車の中で涙をこらえたものですが
それ以来の泣ける小説かなと思います。

市川拓司と同じくらい愛情にあふれた優しい文章で、
描く目線も似ているように思います。
きっとあの映画を見て泣いた(私は見ていないですけど…)人は
この本も泣いてしまうんじゃないでしょうか…

タイトルだけ見て買ったので、
まったく帯のコピーとか読んでいなくて
ストーリーに何の先入観もなかったというのもありますけれども
図らずも感動してしまいましたので
今日は勢いで一気に書いてしまいました。

本屋さんで見かけたらぜひそのままレジへ!

ちなみに一緒に買ったもう一冊の本は
酒井順子の最新刊「先達のご意見」。
帯には「負け犬の他流試合」。

私が師と勝手に仰がせていただいている瀬戸内寂聴氏も
この本に出てくるそうで楽しみですけれども。

なんだかなー…
ゴールデンウィーク。
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2005年04月13日

底辺なもの14 野性時代5月号

東京は寒いです。気温11℃。
桜が咲いてる(散ってる)のがウソのようですよ…

駅からの帰り、自転車に乗っておりますと、
ふと気がつけば
全身銀色の服をまとったおじさんのチャリンコ集団にまぎれて
自転車をこいでいました。
腰にはヘルメットをぶらさげており。

はぁーっ?と思ってよく見たら消防士さんでした。。

どうやら近所でボヤが出たようなのですが
私の住んでるところは路地が狭く入り組んでいて、
なるほど機動的には消防車より自転車ってことなのでしょう…

東京って面白い。

今日はそんな会社の帰りに買った文芸誌の話をします。

野性時代ってのは80年代?に全盛だった文芸誌で
1年ちょっと前に復刊された雑誌なのですけども
純文学ではなくて、どちらかというと文字通り「雑誌」に近い
文芸誌です。

マンガあり、エッセイあり、芸能人のインタビューあり。
寄稿している作家も若手中心で、難しい評論とかはなくて
読みやすい小説中心の雑誌です。

ターゲットも若い人向けだと思うので、
石田衣良とかやら姫野カオルコやら市川拓司やら
角田光代やら好きな人は
一読してみることをおすすめします。
(他にももっといるけど…とりあえず思いつくのはこんなかんじ)
上記の作家は、
今までの号でインタビューとか特集とかされていたり
短編とかで割と常連さんなので。

さてまだ今月号はサワリしか読んでないんですけども
表紙が長谷川京子。

んー。どうだろう…と思ったのが正直な感想ですけれども(笑)

でもそのインタビュー記事をボーッと読んでおりますと
私が以前の記事に書いてるような「映画の内容が覚えられない」だの
「想像はしても、言葉にできない」だの
「映画はひとりで見に行く」だの、ビンゴ!な内容が書かれてまして。

案外同じような女の子は多いんじゃないか?と思ったのと
内容のタイムリーさに
ひとりにやけてしまったのでした。

というわけで
長谷川京子って人に別に何の興味もありませんでしたけれども
ハセキョーもそうなんだーって
妙な親近感が湧いてしまいました。

さて、私が毎号楽しみにしている連載は数多くあるのですが
そのうちのひとつに、中村うさぎのエッセイがあります。

その名も「愚者の道」。

テレビの露出も多い人なのでご存知の方も多いかと思いますが
以前は(今も?)とんでもない浪費家ということで有名でした。
最近では整形したってことで話題になりましたね。

漫画家なので、あまり活字を書く人というイメージがなかったのですが
このエッセイがまた内容が重厚なのです。

浪費家ということで、なんとなくひかれて読みはじめたのですが
内容はなぜ自分が浪費をしているのか、とか
外見にこだわるのか、ということが
実に堅実な文章で綴られています。

こんなにカタい文章を書く人なんだ!と思ってしまうくらい
テレビの印象とは違うんですよ。

題材は心理学的なことだったり宗教的な事だったり
私的なことだったり幅広いのですけれども
その思考の深さ、つきつめてつきつめて考えているんだなーと
感じられて、いつも「ヘェー」と感心してしまいます。

その中で、自らが命を縮めるような病気に冒されていることを告白しています。

このエッセイは、
この先決して長くないと感じる今だからこそ書き残しておきたい、という
一貫してどこか悲愴な決意を感じるもので、極めて私的かつ真面目な内容。

だからこそ彼女の綴る文章が、
雑然と並ぶ文芸誌の文章の中にあってひときわ光ってみえるというものです。

自分の半生を振り返り、なぜこんな趣味嗜好を持つに至ったのかを
細かに分析する。
当然ながらそれは他の誰にもできない、
自分にしかできない作業。

その謎をひとつひとつ解きほぐすために
この人はどれだけの時間を費やし、どれだけのお金を費やし(!)
どれだけの人を幸せにし、もしくは傷つけながら、
これまでのときを過ごして来たのか、
激しく興味を持って読んでしまうエッセイです。

底辺というほど収入のない人ではないですが
このエッセイの中の熱くて冷めた文章に込められた気持ちは
年上の方なのにおこがましいですが、
底辺ズを愛するのと同じような、
愛すべき要素があると思うのです。

というわけで、店頭で手に取った際には、ぜひ
立ち読みでも良いので(?)目を通していただけると嬉しいです。

…でも野性時代ってたまに
入荷すらしていない本屋さんあるんですよね…(;_;)

野性時代復刊の号表紙→g2003102303shibasaki-SP.jpg
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2005年04月11日

底辺なもの13 男性作家

昨日の夜中急に思いたち、
画像を今までの記事にすこし加えてみました。

特に「友達の結婚式」のところでは
ジャマンのバッグの画像が見つかったので即UP。
やー、ホレボレしてしまいます工芸品のようなバッグ。
フリンジのグラデーションなんて最高です。

さてブログを始める以前から、
ブログサーフは割としていたんですけれども
いろんなブログをタラタラと読んでいるときに、
「!」と思った事があったので
今日はそれをテーマにしてみようと思います。

それは文体の男女差について。

私は本を読むのが好きですが、
いつの頃からか男性作家の小説ばかりを読むようになっています。
ストーリーもさることながら、
やはりその原因は文体にあるのではなかろうかと
最近思いつきました。

私は映画のストーリーが覚えられない、ということを書きましたが
本に関してもその通りで、
「今までに読んだ本で一番おもしろかったのは?」とか言われても
ぼんやーりと本の中の光景が浮かぶだけで
本のタイトルも思い出せなければストーリーも思い出せない。
その光景ですら、これまたうまく言語化できなくて
面白さを表現できなくてもどかしい思いをすることが多々あります。

そもそも人に説明するために本を読んでるわけでもないし
人に伝えるためでもないので、別にそのことは気にしていないですが
(実際気にしていた時期もありましたけど(^-^;)
ある意味面白いなぁーと、最近思います。

ブログを読んでいればほんとうに顕著なんですが、
男の人の書いているブログっていうのは
とても論理的で事実なり思考回路を
忠実に再現している文章が多い。

私のように毎回テーマを決めて書いている人のものは
特にわかりやすいです。

事実に紐づいて生起する感情よりも
論理的な組立の方が全面に押し出される、というか。

やはりうまく表現できませんけども(;_;)

さてそういう性差を文学作品の中で探すとなると、
典型的な違いっていうのは
わかりやすいところでいうと、辻仁成と江國香織。

今も月刊誌「すばる」でふたりの共作?が
かれこれ2年以上?、同時進行の展開で連載されていますが、
私の勝手な印象だとやはり描写の対象が違う。

ちなみに話はある男性と女性の波瀾万丈な人生を
男性側を辻仁成が、女性側を江國香織が描くものです。

男性側のストーリーからも感情の機微は見て取れるのですが
江國香織の表現ほどストレートな感情表現を多様していないように思うし
感情の起伏もわずかな変化も、
江國香織の方がうまいこと伝わってくるように思います。

江國さんの文体もかなり特徴的で
女性性を全面に押し出しているところにもあるんでしょうけど。

私が女性なので、江國香織の文章に感情移入できるのも
するすると理解できるのも当然なのですが
辻仁成の文章にも激しく心を揺さぶられることがあるのも
また不思議なところです。
…というかプロの作家なんだから当然ですよね…失礼しました。

というわけで男性作家の作品が好きな理由は、
事実描写の中に埋もれた感情の機微を読み取る作業…に
普通の思考回路とは異なる回路を使うからではないかと思います。

もう書いててなんだかわけわかんなくなってきました。
たまに難しい事考えるとコレですよ…

男女差をここまで極端に一般化するのは
いささか抵抗がありますし、
作品によっては男女差が分からない作家の作品だって多々あります。

でも男女差を楽しめる文化的活動でありたいなぁ…と
ふと思いました。

私は映画のストーリーを覚えられないし
何かにつけて映像でしかものが考えられなくて「ううー」となっていると
うまいこーと「それってこういうことだよね」と
わざわざ的確に翻訳してくれる男の子が昔いました。

もうなんなんだコイツは、とムカつく一方、
ベストセラーになった男女の脳差について書いた本を読むずっと以前から
男女の思考回路の差にはとても興味がわいたものです。

意図的なのかわかりませんけども
江國香織と辻仁成の共作の連載には、そういう男女差というのを
ほんとに感じる部分がたくさんあります。

…とこんなに書くのも
そろそろ次号の「すばる」が発売されているはずなんですが
本屋に並んでいなかったせいで、
ちょっとイライラしたからです(笑)。

今週あたりは「野性時代」も発売になるし、
ああー、早く続き読みたい!!
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2005年03月30日

底辺なもの2 本

言い忘れましたが
私がお金をかけて惜しまないもの=底辺なもの、と勝手に名付けています。

で、2つめは本。

ジャンルは、何だって良いけど
大抵買い求めるのは小説。
お気に入りの小説家は○○!と言い切れれば解り良くていいのだが
割と雑食派、というか…

本格的に小説を読みあさるようになったのは社会人になってからで、
イコール東京で生活するようになってからなんですけども
本代っていうのは意外にバカにならない。

というのも私は新刊の、ハードカバー、つまり
できたてホヤホヤの新作しかどうも興味がわかなくて
(ああ…ここらが底辺ズたる所以)
そこらへんに手を出しはじめると
本代が月に2万円とか行ってしまう月だってあったりしたわけです。

東京で一人暮らしをしているのに2万も本代にかけることのリスクたるや。

しかも私は自他ともに認める底辺ズですから
他にも買いたいものは毎月いろいろあるわけです。

そんな生活を2年くらい続けていたんですが、
ある日、読み終わったハードカバーの最後のページをぺらぺらと眺めていると。

「すばる 200○年 ○月号〜200○年 ○月号 にて連載」のようなことが書いてありました。

つまり、書き下ろしの作品ではなくて、雑誌に連載されたもの。

世に出ている小説の中には、文芸誌に長期間連載されたものが割と多くて
つまり私がホヤホヤ!と思っていたハードカバーの多くは、
大してホヤホヤでもなかったわけです。

それに気づいた私は、本屋に出向いて
文芸誌のコーナーを探しました。

文芸誌っていうと、文芸春秋とかすばるとかくらいしか知らなかったし
買った事どころか読んだ事すらなかったのですが
たまたま「すばる」を手に取ると、
辻仁成と江國香織のダブル連載(「冷静と情熱のあいだ」形式)が開始、という号だったので
つい購入。

読み始めると、なんせ純文学寄りの雑誌なので
難解な読み物もあったりするのですが
当然「すばる文学賞」受賞作はイチ早く読めるわけですし
(もちろんそれまではハードカバーで読んでました)
読み切りもあれば連載もあり、
それまでは週に2冊くらいは買っていたのに、
2週間は文芸誌一冊で持つようになったのですから
コストパフォーマンスだって◎。

願ったり叶ったりの発見。目から鱗がポロポロと。

流行文学好きな人には、ほんとにおすすめ。
芥川賞やら直木賞やら、
賞によっては文芸誌に掲載されたものが受賞するパターンもあるから
先物買いの楽しみもあるわけです。

「今度の芥川賞って○○なんだってね」
「あ、それ前に読んだことあるよ。フフ」

なんて会話もありえるのです。

…いや、だからって一銭のトクにもなりませんけども。
posted by 底辺ズ隊員 at 22:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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